気象予報士な日々

風が語りかけます(´・ω・`)ノシ

お天気雑学/9.11と飛行機雲

今日9月11日はアメリカで同時多発テロが発生した日ですね。
当時高校生だった私は、衝撃的な映像に釘付けになったのをよく覚えていますが、この大事件がある気象現象の解明に関係していたって知っていますか?

飛行機雲ってナンだ!?

さて早速正解発表ですが、その気象現象とはタイトルの通り『飛行機雲』です。

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まずは、飛行機雲の正体から解説。

飛行機雲は、飛行機が通過した後に形成される『雲』のことです。
※煙やガスではがありませんのでご注意を

この雲はエンジンから出る排気ガスに含まれる『水分』と、
翼周辺に生まれる『低圧部』という2つの原因によって発生します。

 

排気ガスに含まれる水分
エンジンから排出されるガスには、水蒸気が含まれており、
これにより、大気中の水蒸気量が飽和水蒸気量に達して、
それを超えた水蒸気が水滴となることで飛行機雲が発生します。

 

翼周辺に生まれる低圧部
飛行機が空に浮かぶ揚力を生む翼の上部は、
気圧が低くなっています。この時気圧の低下に連動して、
温度が下がるため、水蒸気が凝結して水滴となることで飛行機雲が発生します。
※フラスコの中の空気を注射器で引き抜いて雲を作る実験と同じ原理ですね。

9.11と飛行機雲

飛行機雲と同時多発テロはどのような関係があるのでしょうか?
それはずばり、『飛行機雲が日々の気象に影響を与える』という仮説の立証です。

飛行機雲があると、昼は日の光を遮り、夜は地上の熱を逃がしにくくします。


それなら当然日々の天気に影響を与えるのでは?
と思うのですが、この説は飛行機雲がある期間とない期間を比較しなければ立証できず、
飛行機雲がない期間=飛行機が飛ばない期間
という環境を作ることがでないため、ずっと仮説のままでした。

 

しかし2001年9月11日に同時多発テロが発生すると、
アメリカ連邦航空局は、国内の民間航空機に飛行禁止令を出しました。
これにより、11日から13日までの3日間、飛行機雲がほとんどない環境ができたのです。

 

そこでウィスコンシン大学が、全米約4,000ヵ所の気温を調べ、この3日間とその前後3日間の比較を行い、『飛行機雲がない3日間は、昼と夜の気温差が1℃大きくなった』
と結論付けることができたのです!!

飛行機雲と暗黒化

ここまで書てみて自分でも、『大したことなくね…』と思ってしまいましたが、
この研究により有力になった『飛行機雲が地球の暗黒化に寄与している』という説を紹介します。

 

なんか恐ろしい地球暗黒化ですが、要するに地表に届く日の光が少しずつ減っているという説です。
大気中の塵や汚れた大気が原因と言われていましたが、飛行機雲による影響も有力視されているようです。

 

ちなみにこの暗黒化を防ぐために、温室効果ガスを削減して大気を汚す物質を減らすべきでは?
となりそうですが、温室効果ガスを減らすと地球に届く日の光が増えて、温暖化には悪影響を与えるという考え方もあるようです。

 

温暖化情勢は複雑怪奇。。。


( ´・ω・`)ノシではでは